今回の記事の内容
【泥酔客】居酒屋が水を飲ませる本当の理由【対策必須】
無理・・あのお客さんが、絡んできて、大声で叫んで、歌って、コールして、物凄く苦痛でした
一度は飲食店従業員が抱える悩みの一つ。ですが、このまま放って置くこともできません。
では、どうするか?が本日のテーマです。
結論から言うと、「泥酔する前になんらかの対策を打つ」ことですよね。
そうならないために、水は欠かすことのできないアイテムの一つです。
本記事の内容
- 水を提供している本当の理由
- 飲食店員がすべきこと
- 顔色をうかがう
- お手洗いに気を配る
- おしぼり交換と水はセットです
それでは解説していきますね。
1.水を提供している本当の理由
状況を上手にコントロールするため
結局のところ・・泥酔防止です。意識がない・気が大きくなって大変な事になる前に。
しっかり意識を持って帰ってね!という愛情表現が水を提供するスタッフの愛情の表れだと思ってください。
美味しい料理と美味しいお酒をのみつつ、泥酔しないように水を飲んで元気に帰る。これでめでたしめでたし!が理想です。
提供のタイミング
- 日本酒(清酒)と一緒にに水を提供する
- 料理と一緒に水を提供する
本当にこれだけ。簡単です。
「酒類と一緒に提供する」ことこそ価値があります。
更に言うと、頼まれなくても提供する意思表示が大事です。
後から持っていく手間が省けるし、お客様だって頼まれる前に持ってきて貰えた方が親切心が見えますよね。
そしてポイントは下記です。
「お客様に気持ち良くお酒を飲んで頂くためにお水を提供する心構えと姿勢をみせること」です。
さらに、上記のような文言をお客様にも共有する。
水を出す趣旨を予めご理解いただくこと。
これで後で角が立つことはありません。
しかし水ばかり意識してもしょうがありません。
水はあくまで飲食をスムーズにとって頂くためのツールです。
優先すべき事は ‘満足してお帰り頂くために何をするか?’ ですよね。
2、飲食店員がすべきこと
行動にうつそう
下記のとおり。
①リフレッシュして酔いを覚ましてもらう
②お代わり(注文)をもらう
③お客様に声がけ
①リフレッシュして酔いを覚ましてもらう
酔っぱらってしまいつい声が大きくなる。泥酔する。
これらの原因は飲みすぎによるものです。
スタッフは他のお客様に迷惑がかからない何らかの対策や工夫が必要。
経験上、お客樣が間髪入れずにお酒を飲み過ぎるパターンが多かったです。
その間をとってお水を提供が非常に大切になってきます。
そしてリフレッシュしてもらうと効果はバツグンです。
具体的な方法
一番ベターな方法は水ボトルを置いて自由に飲んでもらう方法がベストです。また、あらかじめ「浄水を空瓶に詰めて冷やしておく」ことです
これは日本酒専門の居酒屋で働いていた店舗が良く実行していました。
なくなったら注いでまた冷やす。
テーブルの往復する手間が省け、他のお客様の目を配る時間も増えます。
たまに「冷えていない状態の水ボトル」がありますが、そこはグラスに氷を入れるだけで解決します。
万が一でも常温でも気にならないと思います。
これは経験談ですが、常温の方が飲みやすく、リフレッシュしやすいです。
冷たい水の方が逆に身体が冷えやすい。
ある飲食店では常温水をウリにしており、水用の氷代を請求する店舗もありました。
これもあらかじめメニューやお客様に口頭で説明しておけば問題なしと考えます。
②お代わり(注文)をもらう
水のおかわりをもらうシーンがあるとします。
この場合、水を持っていって考えるべき事は “お客様のテーブル状況を確認する”ことです。
いわゆる’One Way Two Jobワンウェイツーショブ’と言われる「ついで」を探す為です。
その「ついで」とはどの様な事を指すのでしょうか。
・下げものはあるか。
・テーブルに料理はあるか。
・酒の残量はどのくらいあるか。
・お客様の状態は?(酔っ払っていないか、メニューを見ているか)等を確認します。
お客様同士で談笑されている場合、ついつい追加オーダーを頼み忘れているもの。ならば、タイミングを見逃さないよう、すかさず声掛けをする事がポイントです。
私ならメニューを手に取って「お料理やお酒の追加はいかがですか?」とハッキリ質問します。また下げ物をしつつ、お客様の体調の良し悪しを確認します。
・意識はハッキリしているか。
・料理やお酒のペースはどうか。
・寝ていないか
などなど。
もし、何かあれば直ぐにアクションを起こします。それは「声掛け」です。
③お客様に声がけ
重要なのは声掛け
最後に。
お客様への声がけ(追加オーダー)が超大切。お客様も追加したいならオーダーするでしょうし、いらないならまだ大丈夫と言うはず。
しかし例外もあります。例えば二人にてお客様がご来店。
食事中の談笑はつい夢中になるものですよね。
そして気がつけばお酒や料理がいつのまにか無くなっている。
それでも話に夢中で追加オーダーを忘れていた、というパターン。
そんな時こそ水の提供こそが追加オーダーの絶好の機会です。
タイミングを狙う
提供時のみならず、お客様が水を飲むタイミングを見計らって声がけする事も効果的です。
なぜなら会話が一度途切れるから。
後はさり気なくテーブルチェックするタイミングでの声がけのタイミングを探せば大丈夫です。幾度かの声掛けが重要です。
声掛けで重要なのは何も水を持ってく時だけに限りません。
料理や酒の配膳の合間に「追加オーダー」の声掛けをするとより効果的です。
1.アルコールに強い(追加ペースが早い)方ほど、お酒の減り具合を確認する。
2.料理を優先して食べている方ほど、皿のバッシング(取皿や料理皿を下げる事)状況を確認する。
この2つは押さえて置くべき重要なタイミングです。
また経験上、連続で言わなければ「しつこいな」とは思われません。大丈夫です。
間を置いてで言うからこそ、自然に聞き入れてもらえます。
過去しつこいほど接客中に提案してますが、嫌がられた試しがありません。
「もし良かったら追加のお料理/飲み物いかがされますか?」の笑顔で声掛けを。
いかがでしょう。
3、顔色をうかがう
気持ちよくお帰りいただこう
お客様がご来店後、食事も最後の方にさしかかった時の状況を考えます。
ここではお客様がどういう状態なのかをしっかりと確認し、手元や目の動きを観察する事がポイント。
なぜなら、実はこれこそが悪酔い防止の最善策になるからです。
・目を閉じていないか
・何度もトイレに行き、ふらつくなどの不審な動きをしていないか
・縦肘を付いて、今にも倒れそうにしていないか
このような細かな配慮が必要となってきます。
繰り返しますが、お客様には最終的には気持ちよくお帰り頂く事が最優先。ホールスタッフとして、常にお客様への目配りが非常に大切です。
一見、接客慣れしていないと難しそうに見えます。しかし、お客様を観察すれば良いだけ。接客に不慣れなスタッフでも誰でも出来るんです。
お客様へ対応の仕方が分からなければ、仲間であるスタッフ間で共有すれば大丈夫です。
グロッキー状態のお客様を発見!その時どうするか
の時点で(お客様の状況が)ヤバイと判断したなら、すぐに以下の行動に移しましょう。
・寝かせないように最大限の配慮をする
・トイレに籠らせないよう、徹底した声掛け
・リバースした時の状況・対策を確認しておく
上記を踏まえ、さらに出来ることを考えます。
・最終料理オーダーのチェック
・チェック(お会計)の準備
・退店していただく準備
店舗ルールによってさまざまな対処方法があります。
しっかりと店のハウスルールを確認しておいたほうが良いでしょう。
告知をだしておく
また色々な店舗ルールがある中で、一番効果的だなと感じた事があります。
それは「泥酔したと判断した場合、退店を促す場合がある旨のルール」を決める。尚かつ「あらかじめ告知しておくこと」 です。
そうすれば前々からのルールですから、お客様にも堂々と提示できるシステムとして成り立ちます。
1組のお客様を大切にすることは非常に重要ですが、他のお客様も変わりません。やはり店舗ルールを定め、しっかりと順守して頂く事がお店にとってもお客様にとっても幸せな事なのではないかなと、改めて思います。
以上、お客様の顔色をうかがう事の大切さを知って頂けましたら幸いです。
水提供のタイミングを深堀りする
冒頭に2つの提供方法をお伝えしました。
- お酒と一緒にに水を提供する。
- または料理と一緒に水を提供する。
さらに深堀りすると、下記のようなタイミングが望ましい。
・入店一時間は経過している
・日本酒のオーダーが3杯以上になっている
・テーブルに肘がついている
などの状態です。
本来、アルコール度の高いドリンク(日本酒やウィスキーなど)の場合は一緒に持っていきます。
特に日本酒はアルコール度数が15度と高いです。
また、適度に水を飲みつつ日本酒を飲んだほうが、リフレッシュ感が増します。
いらないと言われても置くことが重要
私は日本酒のオーダー1杯目には、頼まれなくても必ずお水をセットで持っていくようにしていました。
お客様にいらないと言われても、「お店のルールなので」 と提供自体をルール化し、笑顔で対応します。その位に重要なんです。
お客様へしっかりと労うためにも、そして最悪の事態を避けるためにも、酒と水は切っても切れない縁と言えます。
泥酔された場合の最善を考える
繰り返しになりますが、酔っ払っている状態、もしくは完全に酔っ払っている状態で肘をついているとき、その時は要注意。動く事が困難になる可能性が充分考えられます。「常に様子を伺う事が大切」です。
その様な場合は滞在時間を考慮しつつ、終盤になっている状態だなと確認します。
周りのスタッフと協力し、メイン料理・デザートなどの〆料理・もしくはラストオーダーまで持っていきます。
「お連れ様がとても具合悪そうですが、大丈夫ですか。ラストオーダーにしますか?」
「おしぼり交換致します。お客様、大丈夫ですか?」
「お食事はお済みですか。お会計置いておきます。宜しくお願いします」
などなど。状況に応じた接客を心掛けたいところです。
中畠が心掛けていたこと
最後に私、中畠が普段から実行していたポイントをご紹介します。
お手洗いのタイミングに気を配る
オーダーを頂きます
一度、環境をかえると人はリラックスできるみたいです。
その心理を応用し、次のオーダーを提案するとより効果的です。
いったん席を離れたテーブルの状況を見てオーダーを取ります。
特にオーダーがない場合
水の残量を確認したり、テーブル上の料理状況を確認したりと、行動すべき仕事が見つかるでしょう。スタッフ側はすみやかにテーブルバッシングしたり、追加オーダーをとる準備を進めると尚良しです。
おしぼり交換と水はセットで渡す
おしぼり交換に決まり(一人一つなどの)がない場合、私はお手洗い帰りにおしぼりと水をセットでお渡しします。
お客様も心のリセットになりますし、次のオーダーにつながるアクションにもなりますから。
毎回おしぼり交換はいやらしいのでタイミングが重要。
状況を把握し、適度なタイミングでの交換を目指す。
そして次の1オーダー・1杯を頂くことを目標にしてはいかがでしょう。
打ち止め水
いよいよお客様が酔っ払ってしまった。
こんな時に有効な手段が「打ち止め水」です。要するに「体の良いお断り」を示すことができます。
手順としては、お水と一緒に伝票を差し出します。
そして一言「本日はどうもありがとうございました、こちらに伝票を置いておきます。」
ファミレス方式に近いですかね。最初から伝票を置いている居酒屋もありますが、こちらはどちらかというとレストラン向きでしょう。
上記の「泥酔したら退店を促すルール」よりも再現度は高く、実践しやすいかと思います。
店舗都合も踏まえての実践をおすすめします。
“店舗都合での退店ルール”を更に深掘りする
何度も言いますが、お客様には気持ち良く退店して頂き、再度来店して頂きたい。そんな風に日々願っています。
しかし、泥酔などで他のお客様に迷惑がかかる場合、退店を促す時もあります。
こういった退店を促す行為はときとして不愉快に思われる時があります。
しかし険悪なムードになる前にすべき事があります。それはお客様に事前説明すること。
スタッフから直接説明する際は下記の2つのどちらかのタイミングがベストです。
- 入店時
- ファースト・オーダーの際
どちらも来店後すぐですね。このような対策をとることで、最初から泥酔された方の入店を拒否することもできます。
節度をもって対応すべき重要なことだと私は認識しています。
店内の入り口やお手洗いに張り紙
A4サイズの張り紙でもなんでもいいのですが
「当店では、お客様が泥酔と判断した場合、お会計とおしぼり、それに“打ち止め水”をご用意します。ご理解の程よろしくお願いします」のようなご案内を出しておきます。
口頭説明と合わせて確認して頂くようにするとより効果的です。
お客様のアラをさがすようで申し訳ないですが、接客を通したコミュニケーション作りはお互いの配慮が必要でした。これは20年間の接客業を通じ実感してきたことです。
悪気あってこのようなルール作りしてるのではない。お客様自身のため、気持ちよく過ごして頂きたいが故の配慮だと思っていただけたら良いですね。
お客様の健康管理を担うスタッフになる
お互いに協力しあう心を持つ
飲みすぎ防止は飲食店スタッフの立場からも抑制することができます。そして飲食店内は店のルールに則った環境でなければなりません。
楽しい空間作りは、正しい飲み手とそのホストの両方が居て初めて成立するからです。
給料日の夜や12月などの繁忙期など、繁華街の片隅で倒れている男女を沢山見かけます。
無茶な飲みすぎで飲食店に迷惑をかけてしまった。よくある話です。
しかし、結果的に自分が嫌な気持ちになったら元も子もないですよね。
飲食スタッフは常にお客様の動向を見つつ、気分よく退店していただくためにすべきことがあることだけは覚えておく必要があります。
終わり良ければ全て良し
しかし、泥酔された飲み手は周りの迷惑を考えることができません。
飲食店スタッフはその事を意識しつつ、事前に行動し対処する必要があります。
ゆったりと安心して飲む空間づくりを演出する水。
そんな大切な役割を担うアイテムを有効に活用し、お客様を適切な状態でお帰りいただきましょう。
仕事おわりにとき、「あー今日も忙しかった。けど楽しい営業だったな」と振り返る事が出来れば最高ですね。
中畠 忍