水のような日本酒は良いお酒?料理との相性は?【利き酒師が解説する】

水のような日本酒

今回の記事の内容

Q.飲みやすい日本酒を飲んでいるんだけど、そもそも水のような日本酒って良いお酒なの?どんな料理と合うのかも知りたい。

こんにちは、忍(@aitojyounetu)です。

これまで20年ほど飲食業界で働きつつ、利き酒師として数々の蔵元をお迎えしイベントを実施してきました。これまでの経験を生かしつつ、解説していきます。

 

 

1.水のような日本酒は良い酒なのか

飲みやすい日本酒とは

それではさっそく上記の質問にお答えします。

答え:水のような日本酒を美味しいとご自身で感じるか。感じることが出来ればそれは紛れもなく良い酒です。

答えを少し深堀りしていきます。

 

ポイントは自分好みかどうか

どんな日本酒であれ、水のような・飲みやすいという感覚は個人の感想であり、好みの問題です。

なぜなら、同じ日本酒を飲んだ人によって感じ方はさまざまだから。

繰り返しますが、「自分自身に合っているお酒」=「美味しい 」と感じることが出来たなら、それは良いお酒と言えます。

しかしながら、水のようなと一口で言っても様々な味わいがあります。

 

現代の日本酒技術の結晶とも言える

下記の特徴3つをご覧ください。

1.「極限にまで米を精米し造られ、雑味のない味わいに仕上げた日本酒」

2.「飲みやすく仕上げるために醸造アルコールや添加剤を加え、味わいをクリアーにした日本酒」

3.「アルコール度数を下げ低アルコール原酒にし、飲みやすく仕上げた日本酒」

これらすべて、水のような・飲みやすい日本酒になります。

上記3つのどれをとっても、水のようなお酒とは、卓越した技術と高品質な造りの集大成とも言えます。

いかがでしょう。このような味わいは好きですか?

このような味わいを是非ご自身の舌で確認し、本当に好きな日本酒かどうかを判断すると良いでしょう。

 

 

次に料理と合わせる方法を解説します。

2.料理の相性を考察する

料理の味の特徴をつかむ

水のような日本酒とは、上記に解説したような味の特性をもっています。

それではどのような料理に合わせ、提案すれば良いのでしょうか。

まずは、どのような調理法が合うか?をイメージする事が大切。

下記の通り。

・料理の温度(冷たい・温かい)

・料理の状態(固形・スープ)

・味付けのベースは何か(例えば、和食なら塩・醤油・味噌)

・食感(柔らかい・硬い) ・料理の種類(野菜・肉・その他)

このようにイメージできると、家庭料理や居酒屋・レストランでのシーンで料理をより具体的にイメージ・注文しやすくなります。

 

日本酒の味の特徴を確認する

より日本酒に合う料理をセレクトするには日本酒の味わいをイメージすることも大切です。

なぜなら、日本酒の味わいに沿って料理をセレクトするとより食べたい料理がイメージしやすくなるからです。

例えば、手元にある日本酒の特徴を下記にします。

本醸造

香り:やや原料香を感じられるが、非常に低い。

味わい:口当たり柔らかであっさりとした飲み口。清涼感のある余韻の短い味わい。

 

このようにイメージしたら、次に料理を考えてみます。ポイントはお酒の特徴に寄り添うイメージをすること。例えば、香りの低いタイプには料理の香りも低く抑えたタイプ。そしてあっさりとした味わいや清涼感を感じられる料理を合わせると同調しやすいです。

一例:あっさり料理 と検索した中でイメージしました。

冷奴・きゅうりとキクラゲの中華風味・白菜と豚バラを使ったミルフィーユ鍋のポン酢仕立て

玉ねぎのマリネ・もろきゅう・たらことわかめのあっさり煮・鰹のうしお汁・あっさり麻婆豆腐

日本酒の香りの高さと味の濃さ。これらを料理の味わいと同じにすることで同調というペアリングが期待されます。

 

料理を先、日本酒を後に決める

料理を先に決めてから日本酒を後にすると、以下のようなメリットがあります。

・決まっている料理の味が分かれば日本酒を注文しやすくなる。

・料理に合わせた日本酒を選べるようになる(または日本酒に合わせた料理)

・日本酒に合う合わないを理解しやすくなる

さきほどと同じように、後は料理の特性に合わせた日本酒選びをするだけです。

 

繰り返しますが、

・料理の香りの高さ

・味の濃さ

この2つのポイントを絞ること。そして日本酒も同じタイプの香りと味に合わせる。このような仕組みとなっています。

 

「飲みやすい日本酒」を中心に相性を考える時は「料理の味付け」に注意する

外食の際、もし分からない点があった賭したら、遠慮なく質問した方が良いと思います。シンプルな日本酒ほど、「料理の味付け」がシンプルな方が合わせやすいからです。料理の味付けが濃すぎると日本酒の味わいが隠れてしまうので、合わせにくくなってしまいます。

まずは料理の味わいの濃さを確認してみると良いでしょう。

 

日本酒を料理と組み合わせて良かったこと

日本酒と料理を一緒に楽しむと、どの様な効果があるのでしょうか。

特に「飲みやすい日本酒」は繊細な料理を合わせる時ほど、料理素材そのものの味が生きてくるのが大きな理由です。

さらに以下のような効能が期待されます。

・油料理との相性が良い(料理がクドすぎなくなる)

・生魚との相性が良い(魚臭を消す)

・肉料理の旨味を引き出す(旨味との相乗効果)

 

淡麗辛口なお酒ほど、繊細な料理が映えます。

また、もっとも料理と合わせやすいこのタイプがこの「程よい味わいの」日本酒 = 水のような、飲みやすいタイプの味わいだと言えるでしょう。

 

広く料理と合わせやすいタイプは普通酒?

理由としては「特定名称酒」以外の”普通酒”にもあてはまるという点にあります。

日本国内はもとより、海外で一番飲まれているのは普通酒と言われる「※1一般酒」です。だからこそ種類もたくさんありますし、※1もっとも多くの出荷数量・飲まれているタイプです

※ソース: 平成30年度 製造方法別製造数量 4-1参照

美味しい日本酒を探せば、純米酒や大吟醸酒に目線がいってしまいます。しかし、普通酒にも全国さまざまなタイプがあります。一度、目線をはずして料理との相性を探るのも悪くないと思います。

 

バッティングしないための対策は食べて覚えること

料理には日本酒に合う料理、合わない味付けがたくさんあります。しかし、目の前に料理と日本酒があるのなら、恐れず試していただきたいと思っています。

もしバッティング(相性が合わないこと)してしまったら、覚えておくのが一番早いです。そうすると、どんなおつまみ料理を食べたら合うのかが分かってきます。

 

どんな時でもメモ、メモ、メモです

どうやって覚えるかというと、私は簡単にメモをしてます。

スマホのメモでも良いです。とにかく、いつでも記録し、どんな料理と日本酒だったかをメモしておけば次はしまった、なんて思わなくなります。SNSでも何でも良いので記録することをオススメします。

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飲みすぎに注意なタイプでもある

余談ですが、飲みやすいのでつい油断し飲みすぎてしまう傾タイプでもあります。

その為にも料理との組み合わせで量をはかりつつ、あくまで料理主体で考えていくと飲みすぎにも効果があるのではないでしょうか。

一口目でみずみずしさを感じ、飲み慣れていくうちにすぐに量が少なくなりがちです。

 

日本酒がメインでの食事は、料理の食べやすさを中心に考えてみてはいかがでしょうか。

 

日常の中で「本当に美味しい日本酒」を探し当てる醍醐味とは

日本酒はどんな料理とも合いやすいと言われています。しかし、個人の味覚の差の違いもあります。

日本酒の味わいや料理の味覚なども変わってくることから、自分の感覚で「飲みやすさ」を定めてみましょう。より日本酒を楽しめますよ。また、日常の中で食べ合わせ続けることにより、ご自分の「本当に美味しい日本酒」の味の好みがわかってくると思います。

是非とも色々な日本酒、そして料理とを組み合わせて楽しんでいただければと思います。

 

ここまでお読み頂きありがとうございました。

中畠 忍

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にっぽんの酒と造る人そして飲食人を応援してます。飲食業20年。銀座バーテンダー→SSI公認唎酒師→全国梅酒品評会の評議委員→日本酒テイスターのプロ酒匠(さかしょう)として接客実績を積む→退職→現在は、飲食事業・日本酒についての情報発信・ブロガー初心者・美味しい食べ物を五感で愛でる毎日