買っておいた日本酒は、ひやおろしの様に寝かせておいても美味しくなるのかな?どのくらいの期間までなら美味しく飲めるのかが知りたいです。
こういった疑問に答えます。
こんにちは忍(@aitojyounetu)です。
今回の記事は、日本酒を日常的に飲んでいる方向けに解説しました。
また、自家熟成に対するリスクや熟成の香味変化について理解できるような構成となっています。
今回の記事の内容
日本酒を寝かせるにはコツがあります
自家熟成はリスクが高い
結論から言いますと、日本酒は寝かせると味わいが変わり、自分好みの日本酒になる可能性は低いとお考え下さい。
しかし、日本酒を寝かせるとさまざまな香味変化が起こります。
荒々しい酸味が落ち着いてきたり、角の取れた丸い味わいになったり。良い部分も見え隠れします。
これらは時間をおいてみないと分かりません。
酒蔵は飲み頃のタイミングを見計らって瓶詰めし、発送しています。すなわち、ベストなタイミングにて消費者へ届けるようにしています。
それをあえて「時間をずらして飲む」ということは、それだけリスクを上げて飲んでいるという事になります。
保存リスクを避けるには
日本酒=時間を置くという行為には、下記の様なリスクを伴います。
・家庭用冷蔵庫の長期保存スペースの確保
・常温保存にもある程度の環境が要る
・長期保存出来るが飲み頃が分からない
以上の事から、なるべく早めの飲用をお勧めしているのが今の現状となっています。
しかし、寝か(熟成さ)せて旨くなる日本酒も存在します。
美味しかった日本酒があり、ついに酒販店で日本酒を手に入れた!
自分にとっては貴重な日本酒なので、とっておきの時に飲もう!
日本酒好きな方にとってありがちな光景だと思います。
しかし、どのくらいまで寝かせておけば良いのか分からない場合、「ひやおろしの味わい」から判断する事ができます。
ひやおろしを更に一年寝かせた結果
ひやおろしの魅力
日本酒を造ったあと、あえて出荷せず「寝かせて販売している日本酒」が「ひやおろし」です。
美味しく感じられるなら寝かせるのもアリです
ひやおろしは寝かせることで美味しくなるように計算・出荷されています。
いつか飲もうと取っておいた日本酒と、蔵元が意図して寝かせた味わいにとは、当然味の違いがでてきます。
また、ひやおろしは半年〜1年間寝かせた日本酒が多いです。
もし、ご自宅などて寝かせる場合、ひやおろしと同じように半年〜1年間ほど寝かせてみるのも良いでしょう。私自身がこの方法で寝かせている場合があります。
居酒屋や酒販店で購入し、実際に飲んで美味しく感じられるなら、自宅で寝かせてみてみてください。
その様な場合は、酒販店の方に相談する方が良いでしょう。
関連記事:そうだ、酒販店(酒屋)へ行こう!
【日本酒のオアシス】地酒専門店に行こう【見て聞いて味わう】 | 中畠忍のブログ (aitojyounetu.com)
好みの味わいになった
以前、上手に熟成変化に成功した酒質は以下のとおり。
香りは落ち着いた、原料米の存在を感じられる、ふくよかな口当たり。
酸味が少なくてややキレのある生酛系のひやおろし系純米酒。
一週間ほど寝かせ、あらためて飲んでみたら、さらに丸みある味わいに変化。ビックリしました。
その時は「やはり寝かせて美味しく飲めるには、寝かせても熟成に耐えうる日本酒が良いんだな」と、こんな風に感じました。
熟成向きに適した思考
結論として、「どんな酒質も好みによって評価が変わる」です。
下記のような酒質が好きな方は試してみる価値はあるかもしれません。
・旨味がしっかりとした香味タイプ
・酸味が強く旨味も強いタイプ
・柔らかな風味だけどアルコール度数が高めのタイプ
・どっしりとした甘味のあるタイプ
・熟成タイプ
これらの酒質に抵抗がない方には、一度熟成してみるのもアリだとおもいます。向きの味わいに抵抗はないはず。
または好きな方には熟成に至らないまでも、寝かせてみて飲んでも抵抗はないはずです。
熟成させるメリット
冷蔵庫で寝かせて変わったこと
落ち着いついた風味になった。
原酒は寝かせた分だけ、練れた風味に変わった。
寝かせたほど、旨さが増したような味わいになった。
時とともに美味しくなるのではなく、味わいがだんだと変化していくものなんだと捉えて下さい。
とはいえ、「アルコール感が抜けて旨くなったなー」とか、「寝かせた事で豊かな熟成した日本酒になった」などの自分好みになる場合があります。
より日本酒を愉しむために、寝かせて飲むという選択肢もアリです。
熟成方法
日本酒を自家熟成したい方向けにシンプルな保存・熟成方法があります。以下の通り。
日光や光に当たらないよう、新聞紙などの紙で酒瓶全体を巻き、押し入れや台所などの冷暗所にて立てて保存する。
たったこれだけ。以外と簡単です。
飲み頃に関しては、日本酒の質によるため、その場では判断ができません。
しかし、日本酒のタイプによってさまざまな変化があります。
生酒や生原酒などの場合、常温保存すると意外と早く味わいに変化がでます。
その位デリケートな酒質です。
出荷前に火入れ(殺菌)出荷した日本酒は、熟成スピードが遅め。2~3年寝かせると味わいに変化が表れてきます。
また、横向きは酒が漏れるのを防ぐため、立てて保存を推奨します。
冷蔵庫保存の際にもちょっとしたコツがあります。下記の記事も合わせてご覧ください。
熟成向きではない日本酒の特徴
フルーティな日本酒・甘いお酒は香りが飛ぶ傾向に
・時間がたつと香りはやがて味噌や納豆・紹興酒のような「練れた」香りに変化する。・熟成によって吟醸香が高いタイプほど、原料香や麹の香りが高くなる。・酸味が増え、よりシュッとしたキレ味のある印象になる。・生酒の特徴であるフレッシュな香りは弱くなり、旨味を思わせるイメージが強くなる。・酸化によって酸味が強くなるか、凝縮した旨味を思わせる香りに変化する。
いろいろ熟成させました
貴醸酒
結果、明るいゴールド色が飴色に変わり、まろやかさと艶のある旨味に変わりました。
夏酒
結果、無色透明な吟醸酒はほのかな黄色になり、スッキリした味わいからやや練れた味わいに変わりました。
ひやおろし
秋に出荷されたひやおろしの生詰の原酒。こちらを1年間常温にて熟成。やや黄色がかった色あい、柔らかい口当たりと円熟した旨味に変化しました。
失敗したと思った例
純米大吟醸
結果、予想していた香りは白桃のようなフルーティな香りから、熟成したやや落ち着いたハチミツのような練れた味わいに変わっていました。
新酒・生酒
結果、生老ね香(なまひねか)と呼ばれる生酒の劣化した香りが出てしまいました。酸味もボヤけた味わいに変わってしまいました。
開けたての味わいに特に不満がなければ早めの飲み切りをお勧めします。
高価な日本酒は熟成させても美味しい?
希少な日本酒ほど早めのオンメニューを
また、飲む先にあるのはお客様の笑顔や満足度です。だからこそ開栓し、どんなに遅くとも入荷した時点で1年の間に売り切るべきです。
夏の暑さも落ち着いてきました。
季節ならではの日本酒を私も楽しんでいきたいです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
中畠忍