日本酒テイスターが選んだ ‘テイスティンググラス’ を紹介する

今回の記事の内容

日本酒グラスを探している方へ

日本酒用のグラスって何?どんなグラスを選べば良いの?お勧めがあれば知りたい。

上記の質問に答えます。

こんにちは忍です。10年ほど日本酒のプロテイスターとして活動しております。
同時に日本酒を楽しむため、これまで様々な種類の酒器も活用してきました。

実は日本酒と同じく酒器ってとても大切なアイテムです。
使い方しだいで、日本酒の香味がずいぶん違って感じるんですよね。
香りの強さが変化したり、味のニュアンスが微妙に違ったり。
ではどんな酒器を選べば、一番分かりやすくてベストなのでしょうか。

日本酒テイスターオススメの酒器をまずはご紹介します。

日本酒の個性を捉えることが出来、微妙な味わいの変化も見逃しません。
よりバランスに秀でたタイプの酒器と言えるでしょう。
値段、酒器の質ともに手ごろな値段で購入できることができます。

そのグラスの名は..

国際規格テイスティンググラス

長年愛用しているグラスですので、詳しく解説していこうと思います。

 

 

 

 

1.香味バランスを味わうにはガラス製の「ワイングラスが適しています。

 

国際規格のテイスティンググラスとは?

簡単に言えば「ワイングラス」のことを指します。
それも「テイスティングに特化したグラス」です。
香味を正確に把握する事ができ、プロ、アマ問わず愛用されています。

市販されているので、どなたでも気軽に購入できることがメリットです。

これは通常の「ワイングラス」にも同じことが言えます。

ワイングラスの最大の特徴

・揮発性を生かして空気面に触れさせ、香りを高めることが出来る
  
・味わい繊細さを感じ取れる

この2点が大きなポイントです。

香味の変化を敏感に感じ取れる事で、味わいの奥深さを楽しむことができます。

また、グラスに手が触れないように出来るので、冷たい状態をキープすることも可能。

なんといっても見た目もおしゃれでスマートですよね。

 

 

2.「国際規格テイスティンググラス」の特徴

ビックカメラ「国際規格テイスティンググラス」より引用

 

 

 

通常のワイングラスに比べ、小ぶりな形状です。
「ボルドーグラス」や「ブルゴーニュグラス」より扱いやすく、こちらの2つのグラスの特徴をかねそろえたタイプです。

さらに、日本酒のソムリエと言われる「利き酒師」のテイスティング試験にも使用されています。

信頼度の高い「日本酒を飲む為の酒器」と言って良いでしょう。
日本酒のみならず、ワインやウィスキーはもちろん、ブランデーやその他リキュールなど、幅広いの酒類を飲まれる方にも愛用されています。

 

安価な価格で購入しやすい

ガラス製品なので耐久性に関しては、見た目は普通のワイングラスと何ら変わりません。

しかし、価格が一脚500円台と、とてもリーズナブルです。

有名なメーカーのワイングラスを買うのであれば、はじめはこのグラスからチャレンジしても良いかもしれません。

飲み比べをするのに2個以上購入しても良いと思います。

あまりお金をかけたくないけれど、香りや味わいを楽しみたい方、いかがでしょうか。

 

筆者が良く購入している国際規格のテイスティンググラスは、ビックカメラの酒販サイトです。

ビック酒販は下記のHPからどうぞ。

https://sake.biccamera.com/bs/item/3270864/

 

冷酒〜ぬる燗までなら違和感なく楽しめる

冷酒なら適温は5度〜 温めた場合、日本酒の種類によりますが〜40度くらいのいわゆる「ぬる燗」までなら許容範囲。

留意点としてはガラス製品のため、基本的に45度以上の燗酒はNGです。

ガラスは熱伝導率が高く、かつ揮発性した湯気でむせ返ってしまう恐れがあるため要注意

また耐熱性のガラスではないことも付け加えておきます

万能型とはいえ欠点もありますが、持っていて損はないでしょう。

 

にごり酒には不向きな面も

このグラスは透明なので、汚れがすぐ目立ってしまうデメリットがあります。
どぶろくやにごり酒などの固形物が混ざっている酒類には、不向きなタイプと言えるでしょう。

「濁り」の状態を確認する分には良いです。

にごり酒タイプの中には、決めの細かいタイプや粗いタイプもあり、目視しやすいです。

普段楽しむ目的からは少し遠い気がしますが、テイスティングに関してはまったく問題ありません。

 

3.どぶろくなどの「にごり酒」は「湯呑み型」を選びましょう

特殊な日本酒には「小ぶりの湯呑み型」はいかが?

繰り返しますが、透明なグラスには、どぶろくなどの「にごり酒」とは相性が悪いです。

特有の「固形物」(酒粕)がついてしまい見栄えが悪くなってしまいます。

そんな時は、外側から中身が見えない「湯呑み型」をオススメします。

湯呑型には手にフィットしやすい、という長所があります。

空間もあるため、適度に香りも感じることのできます。

 

酒器の大きさの特徴

小ぶりサイズは飲みきりサイズとして重宝します。

  • 少量ずつ注げ、飲量調節できる
  • 飲みきりサイズにすることで温度調節が楽
  • 女性や飲み慣れない方へオススメ

 

湯呑み型には「大ぶりのサイズ」もありますが、注意点があります。

それは空気に触れる事で香味が変化しやすい事ですが、以下のような特徴もあります。

  • 口が広いので香味を判別しやすい
  • たくさん飲める
  • 沢山入ることで温度変化をたのしめる

ただし入れすぎには注意しましょう。

大ぶりサイズは口が広いので、空気に触れる日本酒の面積がそれだけ多くなります。

香味変化や温度変化を活かした飲み方が良いでしょう。

慣れてきたら大ぶりの湯呑型を試してみる

ということで、一杯ずつ飲み切れる「小ぶりの湯呑み型」の方が、香味の変化にもさほど影響がなく味わえるでしょう。

この辺りはデザイン含め好みに寄るところですが、どちらかといえば湯呑み型の小ぶりサイズをオススメします。

始めは小ぶり型の湯呑を試して、次いで大ぶりの型を試すのも面白いですね。

酒器によって香味を感じる印象が変わります。それは上記2つも例外ではありません。

 

どんな日本酒が合うのか

繰り返しますが、小ぶりサイズは飲み切る事で清涼感を感じやすいと言えます。

さらに、香りが弱いタイプ・味わいが弱いタイプ〜強いタイプまでの日本酒がオススメです。
大ぶりのグラスは、揮発性(きはつせい)が高く、温度変化しやすいと言えます。

さらに、香り弱いタイプ〜中程度タイプ・味わいが弱いタイプ〜強いタイプまでの日本酒がオススメ(温度変化にさほど影響がない常温タイプ)です。

 

4.グラス選びのまとめ

table, wood, wine

StockSnap (CC0), Pixabay

  • 香味変化の少ない酒器を選ぶべきです。つまり、ワイングラス型の様なタイプです
  • グラスによって香味は変動しやすいです
  • グラスの口の形状によっては大きくなるほど、揮発性は大きく変化します
  • グラスの形状が長くなるにつれて香り低くなります
  • ワイングラス型でも温燗までなら違和感なく味わうことが出来ます
  • 熱燗=おちょこのイメージがありますが、ぬる燗までならワイングラスで対応が可能

以上のことから、酒器によって香の感じ方が大きく変わるので、ワイングラスのような香味・温度ともにバランスよく味わえるグラス選びが大切ということになります。

 

 

4.「酒器セット」にこだわってみる

味わいの特徴

徳利とおちょこのような酒器を使って、さまざまな香味変化を楽しむこともできます。

  1. 香味変化の変化に気づきやすい
  2. 日本酒の温度を変化させる酒器として活用できる
  3. 日本酒文化としての嗜み

このとおり。

別の容器に移し替えることで、香りが立ちやすいです。

そして、様々な温度変化によって日本酒の香味変化が生まれます。

実用的な方法として「湯銭すること」「電子レンジで温める事ができること」「冷水などで冷やす」などが挙げられます。

 

 

5.酒器ならではの触感や、デザインにこだわる

湯呑み型以外にもデザイン性や口に触れた時の触感をイメージしながら決めることです。
伝統的な酒器、および製造会社は全国多数あるため、どうしても迷ってしまいますよね。

そんな時、下記のような方法で決めてみてはいかがでしょうか。

・土製の酒器(陶器・石器・磁器などのぐい飲み)
・枡などの木製(ヒノキ、竹など)
・熱伝導に優れた酒器(錫、チタン など)
・切子(江戸切子、薩摩切子など)
・プラカップ(耐熱性コップなど)

品質によってお手ごろ価格から高額のものまで様々。
私が持っている酒器の中で特におすすめが、「熱伝導に優れた酒器」の錫を使用した酒器です
冷酒専用として使っていますが、より冷涼感・高級感を感じさせてくれます。

こんな感じで、様々な酒器にこだわってみましょう。

 

最初からワイングラスはなー・・という方へ

利き酒器の代名詞といえば、蛇の目の利きチョコがあります。

最近では、大きな利きチョコも売っています。

こちらなら、冷酒から熱燗まで様々な飲み方を楽しめます。

ただ、スワリング(ワインのようにお酒を回すことで揮発性を高めること。香味をより感じやすくする)が出来きません。

普段飲む分には気にする必要はありませんけどね。

 

 

適量入れて泥酔防止に

自分が飲める飲用の許容範囲内で日本酒を楽しむことができるようになります。

私は元来お酒の量をそんなに飲む事ができません。つまり、アルコールに弱いんです。

私は2合まで美味しく飲めますが、それ以上は過度に酔ってしまいます。

しかし、あらかじめ量を酒器に決め、入れておけば、飲用の限界を超えることはありません。

 

人間だれしもお酒を飲めば酔っ払ってしまいます。

適量(一日1合までと厚生労働省は定めています)を飲み、気持ちいい範囲内で終われば良いのですが、美味しい・飲みやすいお酒を飲むとつい飲みすぎることがありますよね。

そんな時ほど、私はあらかじめ酒器に2合(美味しく飲める範囲)までいれておきます。

飲み終わったらハイ、おしまいです。

これで過度な心配をせず、清清しい朝を迎えることが出来るようになります。

 

そんな自分の限界をしりつつ、お酒の質の変化や様々な酒器を使って楽しむことができる「酒器」も視野にいれてみてはいかがでしょう。

 

広く様々な味わいを確かめたい。

日本酒の香味を純粋に楽しみたい!そんな場合には

ぜひ「国際規格のテイスティンググラス」を使ってみてください。

オススメです。

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 

中畠 忍

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ABOUTこの記事をかいた人

にっぽんの酒と造る人そして飲食人を応援してます。飲食業20年。銀座バーテンダー→SSI公認唎酒師→全国梅酒品評会の評議委員→日本酒テイスターのプロ酒匠(さかしょう)として接客実績を積む→退職→現在は、飲食事業・日本酒についての情報発信・ブロガー初心者・美味しい食べ物を五感で愛でる毎日