今回の記事の内容
年末にかけて準備していた接客術、そして年末にかけて来店されるお客様への対応について解説します。
こんにちは忍(@aitojyounetu)です。
飲食業界にて20年ほど働いてきました。
20回ほど12月の年末を過ごしてきたので、体験談を踏まえて上記を解説しています。
決戦は3ヶ月前から始まっていました
9月からスタートダッシュしましょう
12月の繁忙期を潤沢(じゅんたく)に乗り切るには、3ヶ月前から12月対策として意識しながら営業することです。
なぜなら、全てのスタッフ意識・行動しだいで12月の営業利益が変わってくるからです。
12月の3ヶ月前といえば9月です。
9月は暑い夏が終わりを告げつつありますが、まだまだ気温が下がらない時期ですよね。
お盆が開ける前後の8月は、常に繁盛店舗でない限り、飲食店はわりと暇な店舗もあります。
しかし9月には長期休暇も終わっています。そしてお客様の足取りも売り上げに向かって貢献してくれる時期になります。
新たな気持ちで飲食店に向かっている方達もいる中、その新鮮な気持ちをさらにグッと高めてくれる店舗ほど、年末に来店する頻度が高くなってくるのです。
さらに言うなら、来店後のお客様にこんな文言(イメージ)を持たせたら勝ちです。
・(久しぶりに来たけど)やっぱりこの店に来てよかったな
・この店の料理は美味しいな。次は知人を紹介しつつ来店しよう
・何度来店しても落ち着く店だな。
・こんな飲食店があったんだ。日を置いてまた来て見よう
上記は実際に私がお客様からお聞きした感想、そして口コミから評価していただいた成功体験です。
そして年末に近づくにつれ、知人の方を紹介して頂いたり、会社の方の噂をききつけ、幹事の方が予約を入れてくださるというラッキーなシーンも多々ありました。
それもこれも、早い段階で来店準備をしていたからに他なりません。
その時期、すなわち9月からのスタートダッシュから始まっています。
リピート来店に一番効きいた方法
それは、「個人情報を頂くこと」です。
どの様にしてお客様から個人情報をいただいていたか。
それはずばりDM(ダイレクトメッセージ)とメルマガです。
理由は個人情報を取得し、店舗をリピートしていただくためのツールの1つとして活用していたからです。
そしてそのリピーターになっていただくためにDMで「前予告と特典付きのチケット」を一緒に送付し来店のキッカケづくりをしていました。
もちろん、DM通知を出したからといってすぐに効果があるわけではありません。
例えば希少な日本酒をDMという方法で送ることで限定感がより高まりますし、一度DMを持って来店していただけたお客様は紛れもない真のリピーターといえます。
少しでも店舗の情報を知ってもらうために行動しました
毎月DMを送るわけですが、人・企業によっては迷惑がられる場合もあります。
その場合は、上司としっかり相談をし、期間を空けたり調整をしながらの運用をしておりました。
このような方法を取ることでリピーター率は50%を超え、繁忙期の12月をありがたいことに乗り切っていました。
12月は知られている店舗に行くことが大前提です。
なぜなら、知らないと優良店であっても調べようがありません。
星の砂のような小さな情報でも以前から知らせることが成功のカギとなります。
ポイントカードやランチタイムを使って事前告知していた
前店舗では、お客様との交流をより良いものにしようと、ポイントカード制度を活用し、来店の頻度に応じて「昇格」と題し、さまざまなアメニティを用意していました。
また、別の店舗では、その店舗ではランチタイムにもディナータイムの販促をしておりました。
ランチ営業している店舗さんはお分かりいただけると思いますが、ランチは程よい価格帯のセットランチとしてまとまっておりました。
価格が変動するアラカルトのディナータイムメニューにはあまり興味を示してはくれません。
なので、ランチ来店限定の方にディナータイムでは一律一定価格のディナーセットを提案しました。
すると近隣企業のお客様が来店していただけるようになりました。
リピーターへの積極的なアプローチはできていたか
結論から言いますと、「リピーターから新規のお客様の紹介してもらう」ことです。
そのためにリピーターへの積極的なアプローチが必須となってきます。
例えばですが、知らない、顔の見えないSNSからの口コミを見て来店するよりも、身近な方からのアプローチからの方が絶対的に来店率が高いです。
なぜならリピーターのメンツも立ちますし、新規のお客様に気に入ってもらえればリピーターになってもらえる確率も上がるからです。
よくあるネズミ溝みたいですが、この場合誰も損しないのが良いところです。美味しい料理、ドリンク、空間を楽しむことができますから。
日本酒を通して新規顧客を獲得しました
私は唎酒師として店舗で働いていたとき、日本酒好きの方を紹介していただいた事が何度もありました。
なぜなら、親近感を持って何度もお客様のテーブルへ足を運んでいたからです。
私の営業方針は、「しつこく何度もお客様と絡むこと」です笑
そして、できればその店舗の尖った部分を好きな方、またはスタッフと相性の良いお客様から紹介を受けた方が再来店率はとても高くなります。
もちろん、静かに飲みたい・一緒に来店した方とじっくり談笑したい。そんな方へのアプローチはもちろん接客方法を変えた方がいいですよね。
TPOをわきまえて接客する事はプロとして当然です。
毎日の営業の中でお客様をよく観察し、店舗の特異な部分を気に入っていただけたお客様に積極的にアプローチし、販促することで繁忙期にも安定した来店率を出すこともできるようになります。
メニューや季節感などリピーター向けの対策をしているか
リピーター来店の動機で大事なこと、それは「自分にとってかゆい所に手が届くところ」です。
なぜなら何度もリピートしてくると目新しいモノが欲しくなるから、です。
特に来店頻度が上がると以下のようなパターンが増えます。
・同じメニューをオーダーされる確率が高い
・気の合うスタッフがいるから来店
・毎度ちょい飲みで退店される
・同じお客様同士で来店
・オーダーされる量が同じ
・家族で来店される
上記のように、来店のお客様が店舗のことをある程度把握していた場合、より季節感をだしたメニュー構成に変化させる方法のほうが費用対効果がより高くなります。
さらに言うなら、「そのお酒専用グラス」や「特別感のある高級酒器」「常連用に考えたメニュー外の料理」などを用意するなどの配慮があるとより特別感が出てきます。
「そんな特別待遇なんてしたら新規のお客さんなんて寄って来ないよ・・」と思うかもしれません。
実際、行動してみて分かったことですが、意外と周りのお客様は「面白いね」という感想を持っていらっしゃいました。
周りで見ていた新規来店のお客様もこんなサービスをしているのかと興味津々でした。
もし要望があれば、店長なり料理長なりに確認して提供すれば良いんです。「お客様も特別ですよ」と一言添えて。リピーター向けの対策をし、新規向けにも優しく対応する。これで完璧です。
しかし、臨機応変に対応できるかどうかは店舗次第です。事前に打ち合わせなり柔軟性がある程度求められます。
事前対策が必要な箇所なので、店舗全体で協力し行動すべきと考えます。
12月商戦を乗り切るための接客方法
席回転が利益獲得のために最優先であるべき理由
繰り返しですが、12月の繁忙期は三ヶ月前に準備・営業してきた結果です。そのために一年で一番稼ぐ年末月となっています。
そして店舗利益を出すには何より重要なタスクが「営業時間の管理」です。
例え5時まで営業している店舗でも23時まで営業していても同じです。
なぜならお客様の来店時間はおおよそ決まっているからです。
以下のとおり。
・企業向けの忘年会がある
・2次会がある
・終点がある
特に宴会向けのチェーン店舗では時間管理が急務です。
だいたいは社員スタッフが予約管理をしていますが、中にはアルバイトスタッフが時間受付する場合があります。
この場合はルールを事前に決め、「何日は何時からしか予約を受け付けない」などの制限を設けます。
すると営業時間内によっては席回転を考えることが出来、利益が大幅に向上するようになります。
売り上げ予算達成までにすべきこと
ともあれ、ここでも事前準備が本当に大切です。
このような些細な動きは9月ごろからしっかりと皆ですでに動いて意識するようにすると他店との差がついてきます。
一番意識すべきは店舗の目標のゴール(売り上げ額)を明確にすることです。
スタッフ皆の統一感を出すときに非常に有効です。
一日終わりに必ず明確になるものですし、普段あまりシフト入っていないスタッフにも有効です。
12月の目標予算達成額はとても高い金額になります。
忙しい店舗は常に料理やドリンクが並びます。若いスタッフの方も頑張ってくれます。
しかし、終わったあとは疲れの表情が否めません。
こんな時は達成感が必要になります。
頑張って働いた結果が欲しい。
そして目に見えて分かりやすい達成感、それが「本日の売り上げ目標が届いたのか否か」です。
宴会が2回、3回入ると正直萎えます。
しかし、みんなが頑張ってくれた証が明確になると結構モチベーション上がるんですよね。
具体的なモチベーションアップの方法として有効な手段は以下のとおり。
・営業終了後に予算達成しているかどうかをその場で発表・共有する
・目標売り上げ品目がどのくらい達成したかを具体的な数値を共有する
・オススメ料理・ドリンクなどの販売品目数を共有する
・誰がどんな風に頑張っていたかを店長なり上司が部下を愛でる
・目標金額の達成金額に応じてインセンティブを支給する
これらはどのような店舗でも特効薬として効いてきます。一日の終わりに是非スタッフと共有したい成功体験の一つです。
インセンティブ支給のような、高価格帯での販売を主としていない店舗では難しいですが、とても効果があります。
ちなみに私が銀座で働いていたときは売り上げ100万以上につきインセンティブ¥1,000が支給されました。
これが20日続きますと、\20,000ですよね。当然ですがテンション上がりまくりでした笑
来年の予約まで頂くような仕組みを考えているか
リピーター狙うべきは宴会の幹事たち
12月に宴会を通じて初めて来店されたお客様にはお試し来店された意識を持って接客すると良いです。
気に入ってもらえれば再来店されますし、逆に雑な接客をすると再来店の機会を逃します。
全ての来店客を均等に見ることも大切です。
しかし、重要な点は「幹事の動きを観察することです」
私の場合は予約された幹事には以下のようなことを尋ねることがあります。
・来店動機
・どんな料理やドリンクが好きか(もしくは気に入っていただけたか)
・職種
・近隣店舗でお気に入りの店舗
・名刺をもらっても良いか、またDMはOKか
これらを聞いておくと会話のやりとりがスムーズになります。
また次回、来店動機のキッカケづくりや近隣店舗の動向もお客様から探ることもできるようになります。
このような情報収集を忙しい時だからこそこちらから積極的に話しかけます。
例えば満席状態の時、意外と手すきになる場合があります。それは料理やドリンクも出し終わって一息ついたときです。
担当を決めてでも幹事の動向をチェックする
ここで呼ばれるまで立っているのではなく、幹事に目を配り、下げものなどがある場合は積極的に彼ら幹事を目指して声がけすることです。
できるなら席担当スタッフを決めることです。
自分の担当スタッフとして接客することでより重要な仕事になります。
また、担当する気持ち(人員配置に気をつけながら)で接客するとより良い関係が築けるようになります。
上記でも言いましたが、わたしは少し過剰に接客をします。
特に相手が店舗を決めた幹事のような方の場合は、再来店していただけるような接客と、感謝の気持ちを心掛けています。
準備8割実行2割
と言うわけで、早い段階での前準備の重要性と宴会での来年に繋げるまでの話をしました。
安定した売り上げを確保する為にはお客様みな対等に接する事が大切です。
しかし、常に目を配る頻度を高くし、再来店につなげるためには、より店舗を愛してくれているように接客しなければなりません。
そのために年末の繁忙期までに様々な準備をする必要があります。
年末に入ってから12月の準備を進めても、来店数が上がるはずもないですよね。
そして、12月の時期になったら来年の準備(心構え・意識)も順次平行して考えて生きましょう。
常に準備し実行は迅速に行いましょう。
備えあれば憂いなしです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
中畠 忍