今回の記事の内容
Q.日本酒を飲んでも味が分からないんです。どうすれば味が分かるようになりますか。みんな同じ味わいに感じてしまいます。
このような疑問にお答えします。
こんにちは忍(@aitojyounetu)です。
唎酒師(ききさけし)の資格を取得して10年になります。
これまでにさまざまな種類の日本酒を飲んできましたが、日本酒を飲み始めた頃は、日本酒の味はもちろん、どんな日本酒が人気なのかもわからない状態でした。
しかし、さまざまな経験を経て、日本酒の “本質 “が少しずつわかってきました。
以上のことに触れながら、私、中畠がどのようにして日本酒の味を覚えていったのかを、実体験をもとに解説していきます。
経験の積み重ねです
結論から言うと、試行錯誤の積み重ねです。
特定の日本酒を1度や2度飲んでも、その味を正確に判断することは、利き酒の訓練を受けたプロでも難しいです。
しかし、日常生活の中で日本酒を味わう訓練をするのは意外と簡単です。
はじめは”香り”からトレーニングすること
日本酒の香りはタイプ別によって分かれます。
次に味わいを突き詰めていくと、大体の日本酒の特徴がつかめてきます。
利き酒師が使っている具体的な味わいの表現方法 | 中畠忍のブログ (aitojyounetu.com)
さらに言うと、身近な生活の中でもトレーニングは可能。
その方法が下記になります。
食べ物の香りを常に意識しました
皆さんは、身の回りの香りをどれくらい意識していますか?
この意識するということが非常に大事。
常に好奇心をもって香りや臭いを嗅いでみることをオススメします。
私は家にある食材など身近なものを手に取り、その香りを嗅いでいました。
日本酒専門資格を持つ「唎酒師ききさけし」は、香りや味わいを身近な食品を用いて表現しています。
つまり、「食べ物の香りを意識する」= 「日本酒の特性を理解するキッカケ になります。
食べ物の香りを意識して日常的に嗅ぐ習慣は、とても良い練習になります。
今日からでもすぐに始められます。
ぜひチャレンジしてみてください。
香りのする食材なら何でもOK
私は昔から食に興味があり、素材の香りから料理の香りまですべて嗅ぐ癖がありました。
もちろん、食材の香りから、その食材を使った料理の香りまで、すべて嗅ぎました。
例えば、ニンジンの香り、ゴボウの香り、カボチャの香り、タマネギの香りなど、ありとあらゆる食材の香りです。
考えてみると、このような行動が自然と嗅覚を鍛えてくれたのだと思います。
嗅覚を鍛える習慣が役に立った
小さな頃からでしたので、いつからという感じではなかったです。物心ついた時期からです。
しかし私が上京後、酒の勉強をし始めた頃から、かなり香りを嗅ぐ癖が強くなりました。
私も酒の味を覚えたての頃に、「具体的な日本酒の香りや味わいが分かるか?」と言われたら、当然 “分からない” と答えたはずです。
日本酒の味わいを理解するために、身近な食材の香りから嗅ぐ事が、実は日本酒の勉強に繋がっています。
街には香りが溢れています
その他、ドラッグストアやデパートなどの試供品の香りを嗅ぎつつ(サンプルを試すこと)香りを覚えていました。
これは特に「唎酒師」のテイスティング試験に役に立ちました。
特に、香水はわかりやすい。ハッキリとしたニュアンスがあり、しかも想像しやすい。
わからなければ、香水売り場の店員さんに聞けば答えてくれるでしょう。
外出先でも身近に香りは溢れています。
とにかく興味を持って分析してみることをおすすめします。
シンプルな香りを極めよう
繊細な香りではなく、わかりやすい香りから学ぶことが大切です。
なぜなら、複雑な香りは認識するのがとても難しいからです。
例えば、フルーツやスイーツ、ジュース、香水など、強いタイプの香りがおすすめです。
香りといっても、ピーチ、メロン、ストロベリー、バナナ、グレープフルーツなどのフルーツの香りから、竹、ハーブ、クッキーなどのお菓子の甘さなど自然界に存在する香りまで、さまざまな種類があります。
繰り返しですが、芳香剤や香り付きの消臭剤などの「フレグランス」は特にオススメ。
これらの強いわかりやすい香りを日常的に嗅いでいれば、それが何であるかがわかってきます。
そうすると、だんだんと嗅覚が鍛えられていきます。
普段の習慣が唎酒師合格へと繋がった
このように、日々存在する香りに慣れる環境を作ることがキッカケで、唎酒師(ききさけし)の資格を取得することができました。
日本酒のテイスティング試験の前には、さまざまな香りを嗅ぐための授業があります。
その授業を受けたとき、私はとても驚きました。
というのも、素材の香りを嗅ぐというのは、これまでもずっと実践してきたからです。
唎酒師の講習会では、見えない不透明の紙コップに、香りの元となる特定の食材や物質を入れて、どのような香りなのかを表現する訓練があります。
ポイントはどんな食材が入っているのか?ではなく、その食材の特徴をどの様に伝えるか?という訓練です。
例えば「バナナ」の香りを『バナナを知らない方に」言葉だけでどのように説明するか?』です。
多くの方が「いや、バナナはバナナの香りじゃん…」と思いますよね。
しかし、バナナを知らない人が聞いたら「分からない…」となるはずです。
では、《甘味がとても強く、熟れた果実のような香り》と表現したとしたら、「なるほど、これがバナナ」というものなのか。と理解に近づくはずです。
バナナには「色々なタイプ」があるように、日本酒にも色々なタイプがあります。
このように、日常的に食材を含めたさまざまな香りに触れることで、嗅覚が磨かれ、テイスティング能力が向上するのです。
少し難しいですが、下記は本格的な香りの捉え方を実践形式で解説しています。
テイスティングのプロ唎酒師(ききさけし)も実践しています。
ご参考にしてみてください。
【日本酒】利き酒の応用テクニック【完全講義】 初めて日本酒の利き酒をする方も、利き酒のコツを知りたい方も必見! 本格的な利き酒の解説をします。 – 中畠忍のブログ (aitojyounetu.com)
日本酒の”味の違い”を理解する方法
チャンポンはしたことありますか
結局のところ、他のお酒を飲んで(体験して)初めて、日本酒をお酒として理解することができたのは幸いでした。
日本酒の味わいは、さまざまな旨味成分が絡み合った繊細な風味が特徴です。
日本酒の特徴を追うことができたのは、他のアルコール飲料での経験があったからです。
例えば、ウィスキーは日本酒より味わいが強烈で、度数も強い。
対して、日本酒はウィスキーよりもみずみずしい味わいの要素が多く、飲みやすい。
焼酎はウィスキーのようにガツンとくるけれど、原料の風味が分かりやすく、個人的に料理と合わせやすい。
対して日本酒と比べて、日本酒の方がさまざまな料理と合わせやすい反面、日本酒の量が進みやすい。
この様に、色々なお酒を飲む(体験)する事で、お酒の個性が見えてきます。
これまで飲んできた色々なお酒を思い浮かべながら飲み比べてみて下さい。
他の酒類と比較することは、一見無駄のようで日本酒を理解しやすい一番の材料かもしれません。
このようにして、私は日本酒に対する意識が少しづつ変化していきました。
日々の暮らしの中でも十分練習できます
とはいえ日本酒って難しいし、そこまで意識する必要ないんじゃないの?
このような疑問を持つかもしれません。
ただ日本酒に限らず、お酒のことを知りたいと思ったのなら、日々の生活の中で食べるものを意識するだけでもよいのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、普段からの食事の中で感じる香りを意識するだけでも日本酒の香りや味わいについて訓練できるからです。
唎酒師として活動している方は、日常生活の中での日本酒に対する意識がやや高い。
しかし、これは他の人と比べればほんの少しの違いでしかありません。それを意識してトレーニングするかどうかの違いです。
唎酒師に限らず、お酒を扱う仕事をしている人にも言えることです。
きっと私と同じように香りや味にこだわって日々の生活を送っているのでしょう。
日々の生活の中で、食事というか食文化に少しでも目を向けることで、日本酒への理解も変わってくるのではないでしょうか。
ともあれ、まずはリラックスして飲んで楽しみましょう
皆さん、少し日本酒について大きく構えすぎていませんか。
私たちエンドユーザー(一般消費者)にとって、日本酒を飲みやすい環境を作ることが一番大切だと思います。
なぜなら、他の人が日本酒について何と言おうと、実際に日本酒を飲める環境がなければ、日本酒の本質は見えてこないからです。
まずは日本酒を飲むことから。
日本酒の本質を見極めるは?
・健全な状態で飲めているか、環境にあるか
・ある程度の日本酒を飲み慣れているか
・日本酒管理の行き届いた飲食店、酒販店などがあるか など。
確かに上記のように覚えて損はない知識がたくさんある事は否めません。
興味のある日本酒を手にとって飲む。先ずはここから。
【日本酒のオアシス】地酒専門店に行こう! 酒屋巡りから知ったことを解説します 【見て聞いて味わう】 | 中畠忍のブログ (aitojyounetu.com)
「日本酒が分からない…」そんな方は一度リラックスして、深呼吸してから飲んでみましょう。
そして普段の食生活から香りや味わいを感じ取ってみてください。
やがて「あーなんだ、こんな味の日本酒だったのね」と分かる日がきっときますから。
二合ほど日本酒を飲んだら寝てしまう私が断言します笑
今回は以上になります。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
追伸
個人的にはチャンポン(複数の違う酒を飲む事)はオススメはしていません。ただし、少量づつ飲み比べる事で勉強にはなります。
二日酔い(海外では病気認定されたそうです)にならない程度に楽しんで頂ければと思います。
中畠 忍