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・あまり日本酒に詳しくない。上手に日本酒の説明をしたいけど、急なお客様からの質問に答える自信がない・・・。
・日本酒の魅力を上手に引き出したい。何か良い発信方法はないだろうか。
上記のような悩みの解決方法について解説します。
こんにちは忍(@aitojyounetu)です。私は10年間ほど日本酒に特化した飲食店にて働いてきました。
また唎酒師(ききさけし)として接客経験を元に、お客様から “もう一杯”を頂いた時の成功体験を書きました。
今回の記事の内容
1.酒蔵の特徴をチェックする
![](https://aitojyounetu.com/wp-content/uploads/2021/09/macbook-gfebcc1019_640-1-300x186.jpg)
日本酒のディープな知識をインプットする
『特定の日本酒』をさらに深く知り、接客してみたい。
そんな方には「酒蔵のホームページ」をチェックする方法がおすすめです。
その酒造の日本酒は「どんな味わいを目指しているか」が読み取れるからです。
-ホームページでチェックしたい内容-
1. どのような日本酒を造っているか
2. 日本酒の商品数は何種類か
3. 日本酒の名柄
4. イベント情報の有無
5. 季節限定酒の内容
これらは日本酒の味わいを知る以外にも非常に重要です。
酒蔵の全容を知ることこそ、次の一杯に繋がるからです。
酒蔵ごとのホームページを見比べると比較しやすいですよ。
酒蔵情報を得るメリット
より正確な情報や特徴を知りたいのなら、酒蔵HPをチェックすることです。
酒蔵の日本酒というよりも、その酒蔵の特徴が理解できるようになるからです。
例えば下記のような点に注目することが大事。
・メインになる酒の造り方で香味イメージがついてくる(速醸、生酛、四季醸造など・・・。)
・どんな酒米を使用しているかで酒蔵の特色が分かる(酒米・酒造好適米の名前)
・メインになる日本酒の銘柄で(地元向け?特定の酒屋限定「特約店」向け?)
これらは「どうしてこのような味わいなのか」がハッキリしやすいため、酒蔵の特徴をお客様へより明確に伝えやすい。
さらに日本酒造りの方向性を説明することで、お客様が日本酒を注文する ‘キッカケ’ になります。
酒蔵・日本酒の特徴を覚えるためにも、定期的なHPのチェックをおすすめします。
日本酒知識の覚え方
これは簡単です。
休憩時などのスマホ片手にポチポチするだけ。最低でも上記の”日本酒の醸造工程”、”メインで使用される酒米の名前”、”どんな酒屋に卸しているのか(希少性)”を調べる。
このようなスキマ時間が非常に大事です。
学生の方などであまり調べる時間がない方でも、3分もあれば1蔵くらいチェックできるはず。
一気に覚える必要はないです。
少しずつチェックしていくと、新たな発見が見いだせるはずです。
飲んだことのない日本酒について質問された場合
もし下記のような質問がきたらどうするか。
すみません、これはどんな味ですか?
日本酒をウリにしている飲食店なら、一度は耳にする質問です。
このような場合の受け答えの一覧です。
・「すみません、日本酒の詳しいものに聞いてきます」と詳しい専門スタッフや酒類担当に聞く ・「私は飲んだことがないので、分からないのですが」と前置きし、前もって調べていた酒蔵・日本酒の情報を伝える ・「まだ未成年なので詳しくないのですが」と前置きし、酒蔵・日本酒の情報を伝える or 専門スタッフや酒類担当に交代する
お客様は、飲食店スタッフが飲んだ日本酒の感想を求めているのではありません。
日本酒の説明を聞いて”注文するかどうかの判断”がしたいのです。
一杯を頂ける内容の知識があれば伝え、そうでなければ別のスタッフに託す。
オススメは出来なくても、香味説明はできます。
ちょっと難しい接客内容です。
しかし慣れてくるにつれ、専門スタッフや酒類担当を呼ぶことなく対応できるようになりますよ。
2.日本酒の魅力を引き出す3つのキーワード
![](https://aitojyounetu.com/wp-content/uploads/2021/09/three-gdf2ae6c5a_640-1-300x147.jpg)
後半では、日本酒の知識を応用した上級テクニックをご紹介します。
日本酒の魅力を伝える重要なキーワードは以下の3つ。
1.適切な提供温度の提案
2.火入れの有無に注目
3.銘柄のストーリーを添えて提供
順に解説します。
1.適切な提供温度の提案
提供温度の事前チェックをする事が大切です。
「適温」を知っておくと説明がスムーズになります。
日本酒によって冷酒の方がすっきり飲めたり、熱燗の方が旨味を上手に引き出すこともあります。
提供する側にとって説得力のある武器、それが適切な提供温度のチェックです。
どのような味わいになるのか?が分かる説明方法
オーダーを頂くためには、具体的な香味イメージを伝えることが大切。
それが下記のようなセールストークです。
・冷やすことでキリリとした酸味がよりシャープになり、飲みやすくなります。
・パイナップルのような甘味と酸味が特徴です。良く冷えた冷酒がおすすめです。
・米の旨味を堪能できます。常温またはぬる燗がおすすめです。
・熟成した味わいですが、冷酒で提供しています。温度変化による複雑な味わいをお楽しみください。
これらは「どんな温度がどういう香味になるのか」を説明しています。
飲んだことがない日本酒だとしても「なるほど、こういう味わいなのか」と思って頂けるはずです。
お客様が求めているのは常温で飲んで美味しい日本酒なのか、冷酒なのか、温め酒なのか。
温度が変われば香味ニュアンスも変わるため、日本酒の個性を把握した上で、飲み方を提案してみると良いでしょう。
2.”火入れ”の有無に注目
日本酒メニューの中から”火入れタイプ”と、加熱していない”生酒タイプ”を分けてみます。
より細かく分類することで、香味の違いがさらに明確になります。
下記のように、火入れの回数によって変わる呼び名をご存知ですか。
(1)火入れ殺菌している
→通常の日本酒(二回)
→生貯蔵酒(一回)
→生詰酒(一回)
(2)火入れ殺菌していない
→生酒(0回)
これらは大概ラベルに記載されているので、比較的分かりやすいと思います。
味の特徴をそれぞれ調べておく
ただし、下記のような疑問点が残ると思います。
・通常の日本酒と比べて、生貯蔵酒はどんな味わいなのか?
・火入れ一回目と二回目の明確な違いは?
・同じ一回火入れなのにどうして名称が変わるのか?
・それぞれの特徴は? etc..
ポイントはこれらの名称の香味の特徴を事前に調べておくことです。
このような「なぜ?」を事前に調べておくことで、さらにディープな説明や提案が出来るようになります。
まずはラベル情報から火入れ回数をチェック。(分からなければインターネット検索でもOK) 次に火入れ回数をチェックし、香味の特徴を把握する。
このような感じで進めていくと良いでしょう。
3.銘柄のストーリーを添えて提供する
日本酒の銘柄にまつわるストーリーの提供こそ、日本酒の魅力を上手に引き出す最大のコツだと私は思っています。
なぜならそのストーリー自体、酒蔵によって背景が違うから。
つまり、日本酒の味わい+酒蔵のストーリーを添えつつ提供する。
この方法さえ慣れてしまうと、日本酒の提供がさらに楽しくなります。
日本酒の魅力がさらに自分に乗り移り、最高の日本酒ナビゲーターになることも可能です。
ストーリーをナビゲートする
以下のようなストーリーを添えて提供すると良いでしょう。
・酒蔵がもつ "こだわり" ・あなたが思う酒蔵の"良い部分" ・提供した日本酒について"あなたが体験したこと"
ストーリーをナビゲートした内容が下記。
・こだわりの伏流水で造った、みずみずしい口当たりを是非とも体感してみてください。
・ご夫婦お二人で一生懸命造った日本酒です。生産量が少なく、限定酒になります。美味しいですよ。
・こちらの日本酒は、当店自慢の料理と相性が抜群です。特に~の料理と合わせて食べてみてください。”私も食べ合わせてみましたが、抜群に美味しかったです!”
ポイントは簡潔に、そしてやや力強い口調にてご案内することです。
しかし長過ぎると自分語りのようになってしまいます。
ダラダラとしゃべり続けるのはNG。
あくまで目的は、オーダーされた日本酒を印象づけるためのナビゲートです。
スタッフの皆さんも情熱をもって、日本酒を提供してみましょう。
「季節の日本酒」をオススメする
出荷時期によって日本酒のタイプが異なります。
日本酒のストーリーにも季節感があるとより臨場感アップします。
四季別に出荷される日本酒の名称は下記のとおり。
春・・・春の生酒
夏・・・夏酒
秋・・・ひやおろし
冬・・・新酒・しぼりたて・あらばしり など
下記のように「購買意欲をかき立てるキーワード」もおすすめ。
・季節限定酒
・少量出荷
・新酒
・出来立てをそのまま瓶詰めした日本酒(しぼりたて)
「旬」をキーワードに取り入れ、ほかの日本酒との差別化ができます。
通年出荷されている日本酒に加え、季節限定酒もピックアップしてみる。
すると、お客様の反応がずいぶんと変わってくることに気づきます。
飽きの来ないメニュー作りや、セールストークを目指したいものです。
ということで今回は以上となります。
日本酒のことについてまずは調べてみる。すると色々な事がわかるようになります。
知識として得た情報を活用し、ストーリーを添えて日本酒を提供してみてください。
きっとお客様に喜んで頂けるはずです。
今回ご紹介したテクニックにて、少しでも日本酒をオーダー頂けたら幸いです。
そしてご自身の日本酒の魅力を引き出せる、そんな意識を持ってもらえたら嬉しいです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
中畠 忍