賞味期限を正しく理解できる!日本酒を管理する方法【開封・未開封】

こんにちは、忍です。

日本酒を売るとき冷蔵庫で保存しているけど、賞味期限はどうなんだろう? 日本酒が中々売り切れなくて、冷蔵庫のなかに封を切った日本酒が 置いてあるんだけどまだ提供できるのかな?

そんな日本酒の保存方法や注意点についてお伝えします。

我々飲食店員は料理や日本酒を提供する時、味わいを理解した上で提供していますよね。なぜなら、立場上お客様の質問に対して、答える義務があるからです。

しかし、 今の私たちが認識している日本酒の味わいが、時間の経過によって変わっていく飲み物だと知ってますか。
例えば、お客様に日本酒の味わいを説明しても
お客様が「さっきスタッフが言っていた味わいと違っていた」と思ってしまった場合、飲食店としての信用が落ちてしまう可能性がありますよね。そうならない為に、私たち飲食人は日頃から、日本酒などの味わいの管理をする義務があります。

今回の記事の内容

日本酒を開封した後にとるべき行動


大きく分けて3つ!
1. 日本酒の「旬」を考える
2.日付けを書いて開封チェック
3.担当者が日本酒の味わいをチェック

1.日本酒の旬を考える

はじめに我々飲食店のスタッフがするべき事!
それは、「お客様に対して適切に日本酒を提供する」事です。
取り扱う日本酒には必ず飲み頃=旬があります。
でも、日本酒を含めたお酒には、なんと!賞味期限がありません。
腐る事もありません。いつでも飲んでも大丈夫!それが日本酒という飲み物!
しかし・・
開封すると、時間の経過とともに劣化するというデメリットがあるんです。
ではどうすれば良いか。結論!
日本酒は旬の状態で飲みきった方が美味しく感じられる。
つまり、開封してから飲みきるまでに、旬の状態で飲めば
日本酒はずっと美味しいままである!
と言うことです。
まさに私達の使命、それは
日本酒の旬を理解し、ちゃんと品質管理をして、
美味しい日本酒を味わって頂く環境作りをする事です。
「飲食店が適切な品質管理を怠ったために起こった事じゃないの?」と思われないために、まずは
消費ユーザーとしてではなく、「日本酒を取り扱う管理者の立場」として意識を持つべきでしょう
しかし、様々な業務がある飲食店スタッフには
全てのお酒の変化に対応するのって難しいですよね。
日本酒によって、味わいが変化するスピードってさまざまです。

ひらめき電球日本酒のタイプ別で旬を考える必要がある

普通酒のような火入れと呼ばれる日本酒も
味わいの変化スピードが遅いだけであって、いつまでも売り残っているのは問題です。
香りの高い日本酒は、香りが閉じてきたり、生酒では酸味が際立ってしまう。タイプ別でそれぞれの特徴を把握していないと変化に気がつかないからです。
ひらめき電球日付けを書いて開封チェックをすべき
日本酒の開封日を開けたその日に書いてしまいましょう
なぜ書いた方が良いのか、以下の通り
・開封した日付が分かるので旬が分かりやすい

・売れ行きが一目で分かる

・オススメする順番の目安になる

・日本酒管理しやすい
我々飲食店スタッフが、提供しやすい環境を整える事が最優先と考えた結果です。
飲食店にとっては早く売り切って次の日本酒を入れたいと考えるのが自然です。繰り返しですが、美味しい状態で販売、維持する事が目的だからですよね。
沢山オンリストしてある日本酒の存在を忘れないためにも有効な手段として活用出来るでしょう。日付チェックした銘柄はエクセルやノートにまとめておくと良いでしょう。
注意点
「沢の鶴酒造」が推奨している、「火入れしている日本酒が美味しく飲める期間」は、開封していない状態で1年保存可能、との事であります。飲食店店舗によっては飲み放題用に大量ストックしている、または希少なお酒を保存しているのではないでしょうか。
なぜなら、私が働いてきた飲食店は同じ様に保存していたからです
もちろん、保存している事はは店舗都合なので、特に責める気は全くありません。しかし、お客様が飲んだ際に、「正当な味わい」とはたして言えるのでしょうか。
まぁ美味しい期間内に提供する事で、美味しく感じて頂ければ問題ないとは思いますが・・・
しかし、このパターンだと全く上記のメリットに当てはまらないので、注意が必要です。

担当者が日本酒の味わいをチェックすべきポイント


日本酒の味わいで気をつけること、それは「本来ある美味しい旬の味わいを逃さない」事です。
・香り
・味わい(余韻・含み香り)
・余韻
・個性
テイスティングすべきポイントは上記の4つ。
テイスティングする場合は
開封した日の日本酒との比較をしましょう。
香りは特に重要な項目です。香りは最初どんなタイプの香りなのか。高いのか低いのか。最初との味わいの差は具体的にどう変わってきたか。
明らかに香り高い日本酒が低くなったと感じる様であれば、実際に口に含んで確認する必要があります(営業終了後などのアイドルタイムで)。
店舗を開ける準備などで中々テイスティングする時間がない場合は、香りだけでも良いので確認してみましょう。
テイスティングするべきタイミング
香りだけなら毎日確認すべきです。
テイスティングは、タイプ別によりますが、1週間以上売れ残っている場合はテイスティングすべきでしょう。上記の開封日時を書く事を推奨します。
「そんなに頻繁にテイスティング出来ないよ・・・」
確かに10種類以上取り扱っている日本酒専門店などは難しく感じるかも知れません。しかし実際にテイスティングできなくても、確認する方法はあります。
ひらめき電球酒販店に確認する
味わいの経過とともにどう変化していくのか分からない場合、酒販店に確認する方法が良いと思います。ただし、具体的な保存方法などは教えてくれますが、実際に管理するのは飲食店店舗という事を忘れないでください。
卸元の酒販店が複数ある場合は、取り扱い店舗に確認するのが基本です。
ひらめき電球酒蔵に確認する
どうしても分からない場合、酒蔵に直接聞いた方が早いです。何よりも自分の酒の事を知っている親ですから。
ただし、管理する側が蔵元に聞くという事は、「管理出来ていないので教えてください」と言っているようなものです。言葉を選びながら慎重に質問する方が良いでしょう。

日本酒の味わいが変わる前に取るべき対策とは


ひらめき電球開封したら空気を抜いて保存する
日本酒の風味を変わらなくするシンプルな方法の一つといえるでしょう。
劣化は空気の酸化による影響が主な原因の一つです
注いだ日本酒ビンの残量に空気が残りますよね。
そこでビン内の空気を抜くことで酸化を防げるというわけです。
ただし、この方法にはコストがかかります。
ひらめき電球バキュバンを使う
バキュバンと呼ばれる器具はご存知ですか。
主にワインの酸化防止として長年使われている器具です。
空気を抜いて真空状態に近づける事で酸化を遅らせる効果があります。
酒蓋の代わりに使えるので、一度開けたらバキュバンを指して空気抜きするだけです。
かなり使えるので一度お試し下さい。
ただし、日本酒の種類が増えるとそれだけバキュバンの数も必要になります。
全部に使用するとコストがかかるのが嫌だというなら、オススメの日本酒や、季節限定酒・生酒など、劣化の早いタイプ優先に使ってみるのもありですね。
日本酒を少量から提供しているBARやコストの高い日本酒を置いている店舗に特に効果的なアイテムです。
ひらめき電球温度管理を徹底しましょう
冷蔵庫の開け閉めは慎重に行いましょう。出したらすぐしめる。悩まない。
シンプルなようですが、実はとっても重要なことです。
1日の営業で冷蔵庫を何度も開け閉めしていると
冷蔵庫の温度が知らないうちに上がっています。また、冷蔵ドアを開けっぱなしにしながらの銘柄探しは、特に注意が必要です。冷蔵庫内の温度が上がり、全体的に冷える速度が遅くなる原因となります。
もし、冷蔵ストッカーに沢山日本酒が詰まっていたら、あらかじめ場所を決めて
ならべておくことがベターです。配置図をつくっても良いですよ。
綺麗に見えてディスプレイとしても眺めが良いと感じてもらえるはずです。
ひらめき電球テーブルサービスの提供時間にも気を使う
空瓶、日本酒説明カードなどを代用として使っている飲食店が増えてきました。
サーブ用の日本酒をテーブルに置く時間で日本酒瓶内では温度が上がっている、という意識を持ちましょう。忘れてテーブルの上に置きっぱなし、なんて事がないように。
常温酒こそ配置・温度・湿度など、ちょっと神経質に気を使うべきです
焼き場の近くに置いてあったり、クーラーの風が直に当たらない場所にて保管しましょう。
熟成速度が速くなったり酸化が進んで品質の変化が早くなるからです。
温度変化が一定の場所が好ましいですね。かつ遮光性の変化が少ない場所を選びましょう。
路面店、かつ日差しの強くあたる店舗、空調設備の整っていない飲食店舗に対しては、特に気をつける必要があります。
地下や遮光対策をしている飲食店では、(臭い吸着防止の為)臭いのキツイ食材の近くや防虫剤等の薬品があるような倉庫には、一緒にしないような心がけが必要です。
ひらめき電球光(紫外線)に配慮した保存を心がける
日光臭(にっこうしゅう)・油臭(ゆしゅう)に気をつけて香りをチェックする
発酵を思わせる様な焦げたような臭いは日光臭、油っぽさのあるどんよりとした臭いが感じ取れる場合は油臭です。自店舗の酒類担当者に確認し、このような香味を感じた場合、直ちに提供ストップする事をおすすめします。
劣化と呼ばれる現象です。しかし、この後重要なのは、しっかりと振り返りを刷ること。どうしてこの様な香味がするのか、どうしたら正常に品質管理したらよいのか?スタッフ全員で考えてみましょう。
名前の通り日光に当たる事で色合いや香りが変化し、不快な味わいになります。(1日、ひなたへ日本酒を放置するだけで外観が黄色っぽく変わってしまいます)
冷蔵庫内の蛍光灯にも気を使う
日光=蛍光灯=紫外線 と考えてください。
ただし、最近ではLED 技術が発達し、紫外線を出さないLED蛍光灯が販売されています。
店舗改善なんて、すぐに出来るわけない…
対案として・・・
・営業始まる直前までは消灯する
・ノーゲストになったら直ぐに消灯する
この様な対策はすぐ実行出来ますね。
ひらめき電球ドリンクのラストオーダーが終わった合図としても活用できる
日本酒の販売を終わらせた合図、としても活用できます。お客様には「品質保持の為、ドリラスが終わった後に消す習慣をつけています」としてご説明すれば、納得して頂けるかなと。
このタイミングで日本酒の注ぎ口をキレイにしたり、バキュバンを使って空気を抜いたり作業出来ます。いかがでしょう。
ひらめき電球閉店の合図として冷蔵庫を消す
やはり酒が進むと、楽しい時間が経つのは早いですよね。お客様への声がけも必要、と同時にいかがでしょう。
中々お帰り頂けないお客様には有効かなと思います。

今回のまとめ

・日本酒の旬を見極める

・開封した日付けチェックする

・担当者が味わいをチェック

・開封後は空気を抜く

・温度管理を徹底する

・光(紫外線)に配慮する
自店舗によっては準備が必要かつ、コストをかけて実行する場合があります。
コストを少しでもかけたくない場合は、知恵を絞って上記の対策した方が絶対に良いです。良いに決まってます。
しかし、優先すべきことは、我々スタッフがお客様に対し、「美味しく飲める日本酒を、適正な状態で提供する事」です。
日本酒本来の美味しさを伝える事が我々の使命ならば、熱をもって品質管理に取り組んでいきたいですね。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
中畠 忍

 

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にっぽんの酒と造る人そして飲食人を応援してます。飲食業20年。銀座バーテンダー→SSI公認唎酒師→全国梅酒品評会の評議委員→日本酒テイスターのプロ酒匠(さかしょう)として接客実績を積む→退職→現在は、飲食事業・日本酒についての情報発信・ブロガー初心者・美味しい食べ物を五感で愛でる毎日